建築学科

模型づくりで ビジョンを整理。 それが私のやり方。

工学部 建築学科 3年 牧野 茜 北海道遠軽高校

「最近やっと、私は模型を作りながら設計していくタイプなのだと分かりました」と話す牧野さん。模型を作りながらアイデアが生まれ、考えてもいなかった形がひらめく。手を動かしながらイメージが広がり始めると、設計することがどんどん面白くなるのだとか。頭でっかちになって煮詰まり、模型を作らずに失敗した先に見つけた、自分なりの設計のやり方です。

同学年でただひとり、空き家プロジェクトに参加。

父や親族が建築関連の仕事をしている環境で育ったので、中学生の頃から自然と建築の道に進もうと考えていました。高校卒業後の進路を考えるにあたり、当初は専門学校で建築を学ぼうと考えていたんです。でも、建築の仕事をしている従兄妹が「建築を深く学びたいなら大学がおすすめだよ」とアドバイスをくれて。高校2年後期というギリギリのタイミングで進路希望を大学進学に切り替え、先生に相談して北海学園大学を志望することに決めました。

3年間学んできて、大学を選んでよかったと思っているところです。私の場合、専門学校の2年間だけでは、やりたい建築の方向性や進みたい分野が定まらないまま就職活動をすることになってしまったと思うから。就職活動がスタートした今、北海学園大学に進学して正解だったと感じています。

これまでの大学生活で印象に残っているのは、1年次に参加した沼田町空き家リノベーション・プロジェクトです。空知の沼田町にある空き家を、建築学科の学生たちがリノベーションする活動で、学生有志が数日間ずつ参加しながら約1年間かけて古い民家を再生させる取り組みです。夏休みに参加したのですが、参加メンバーのうち1年生は私だけ。そのほかは全員3年生でしたから、私にとってかなり勇気を出した挑戦でした。

3泊4日の滞在では、先輩からの指示を仰いで屋根用の木材を切ったりビスを打ったり、実際に施工するという貴重な機会でした。なにより、2学年上の女性の先輩と出会えたことが私にとっての大きな出来事で。その後はゼミ室に連れていってくださったり、先輩が取り組んだ集合住宅の卒業制作で模型づくりをお手伝いしたり、設計の相談に乗ってもらうこともありました。CADの使い方を教えてもらいましたし、一緒にコンペに応募したことも。その先輩は卒業されましたが、今も仲良くさせていただいています。先輩から学ぶことはたくさんありますから、建築学科に入学したら、ぜひ1年次のうちに沼田町空き家リノベーション・プロジェクトに参加することをおすすめします!

アイデアが生まれ始めると設計が面白くなる。

設計の仕方は、人によって違うのですが、3年次になってようやく、私は模型を作りながら設計を考えていくタイプだと気づきました。手を動かさずに頭で考え過ぎて大失敗したり、CADと向き合うだけでアイデアが膨らまなかったりする経験を通して分かってきたんです。設計までのアプローチも人によって異なりますが、私の場合は、模型づくりを通してアイデアが生まれ、模型を触りながら考えてもいなかった形が見えてくる。手を動かしてイメージが膨らみ始めると、設計の面白さを実感できるんです。コンセプトを考えてからベースのラフを描き、手を動かして模型を作って設計に落とし込む。それが、私に合った設計プロセスなのだと分かってきました。

建築を学んで、世の中にある建物の見方が変わりました。光の入り方がいい建物だなと感じたり、壁や床で使われている建材に触りたくなったり。それから、建物の上が気になるようになりました。建築好きな人は空間を見るときに上を気にするそうですが、上を見ると構造や空間全体が見えてくることに気がついて。また、先輩の模型づくりをお手伝いしながら学んだのは、良い設計は模型から作品の意図が見えてくるということでした。模型づくりの最後に人を配置するのですが、人の動きや過ごし方が見えてきて、迷いなく自然に人を配置できたんです。人の動線が自然に分かるということは、良い設計なのだと学ぶ機会になりました。

今は3年次の夏休み。これから本格的に動く就職活動に向けて、ポートフォリオをまとめているところです。挑戦しようと思っているのは、住宅や商業施設などの建築や、プロダクトデザインや空間デザインなどのモノづくりの分野です。そしていつか、自分の作ったモノが少しでも誰かの役に立ってくれたらうれしいです。