生命工学科

卒業論文は、 幸福度の指標を加えた 出生率の分析に挑戦。

工学部 生命工学科 4年 福島 圭悟 北海道札幌平岡高校

生命科学と人間情報工学。一見、関係がなさそうな分野でも、「それぞれの知識があることで、より深い分析ができるようになる」と話す福島さん。実験が好きで選んだ生命工学科で学び、プログラミングの面白さを知ったそうです。卒業後は総合IT企業「株式会社ジャパンテクニカルソフトウェア」に就職し、システム開発を行うエンジニアとして羽ばたきます。

2つの分野を掛け合わせると、見える世界が広がる。

中学、高校時代から実験が大好き。高校時代はパソコン部に入っていたこともあり、大学では生物などの生命科学と、プログラミングなどの人間情報工学の分野を学んでみたいと思い、この学科を志望しました。

生命科学分野を学び始めて面白いと思ったのは「分子生物学」です。高校では細胞について学びますが、細胞の中でもさらに深い構造の部分、例えば細胞の核の中には何があるのか、植物細胞の外壁の中ではどんな化学反応が起きているのかを学ぶことができました。高校までに習得した生物の知識を前提として、さらに踏み込んで学べるので、とても印象に残った授業です。

人間情報工学分野で興味を持ったのは、2年次後期にスタートしたプログラミングです。生物と情報は、一見、関係のない分野のように思うかもしれませんが、それぞれを学ぶことで、生物系の科目のレポートを作成する際も、ExcelやPowerPoint、「情報処理論」で学んだデータ情報処理の知識を駆使して、分かりやすくまとめることができるんです。また、生物系の研究は、遺伝子の配列やDNAのことを調べる機会もありますから、情報系のプログラミングによって分析が可能になる。2つの分野を学ぶことで、見える世界が広がっていくことを実感しました。

卒業研究は幸福度の指標を加えて出生率を分析したい。

今は、大学生活最後の夏休みを使って卒業論文を作成中です。ゼミの鈴木先生には、取り組んだ研究が社会にどんな影響を与え、何が改善されるのかを考えるようにと、ご指導いただき、出生率の分析をテーマに選びました。北海道の出生率が下がり続けていて、2024年に過去最低の1.01になってしまったというニュースを見た時に思いついたんです。10年以上前の古い研究はあるものの、最近の研究がなかったことも選んだ理由のひとつ。都市部と地方を比較する研究はあっても、人口が多く影響力が高い都市部同士の比較がないため、人口20万人以上の中核都市を対象にしようと考えています。

政府公表のデータや国勢調査のデータを組み合わせ、複数の要素間の関係性を理解する相関分析と、似ているものをグループ化するクラスター分析を踏まえ、自分なりの指標を加えて分析するつもりです。過去の研究では、教育や就業、産業、経済力や環境などの指標が多く用いられていましたので、そこに幸福度を加えてみてはどうかと。国内では沖縄県が幸福度1位で、出生率も1位。出生率が2位の福井県は幸福度も高い。相関関係が見えてきたら面白いですし、できることなら出生率の向上案までまとめてみたいと思います。

コミュニケーション力を身につけ、信頼されるエンジニアを目指して。

就職活動は、当初、北海道の会社を中心に動いていたのですが、それぞれの企業で話を聞きながら、会社の規模や自分の成長を考えたときに、いろんな仕事をしてみたいと思うようになりました。そこで東京に本社がある企業を探し始めて巡り合ったのが、北海道本社・札幌事業所もある「株式会社ジャパンテクニカルソフトウェア」でした。ITエンジニアとして就職しますが、就職活動を通して感じたのは、エンジニアを求める企業は理系でも文系でも学ぶ意欲のある学生を求めているということです。

私は、学生時代にコミュニケーション力を身につけたくて、アウトドア系のアパレルショップで販売のアルバイトをしてきました。おかげで人と話すことが大好きになりました。エンジニアの仕事には、チームワークが必要です。また、人から信頼を得るためにはコミュニケーション力が欠かせないと思います。先輩や後輩から信頼されれば、きっと任せてもらえる仕事も増えて自分の力になるはずです。内定をいただいて就職活動を終えた今、取り組んでいるのは、エンジニアの仕事に備えた基本情報技術者試験の勉強です。自分自身の技術を磨き、人から信頼されるエンジニアを目指していきたいと思います。